バーコードに取って代わられ、その役目を終えた貸出カード。裏表紙の内側の袋か
ら取り出したそれを、僕とキョウは食い入るように見つめた。カードの裏側に書か
れた鉛筆の文字。それは何処かの誰かに宛てられた謎のメッセージだった。その日
から僕とキョウは一緒にその謎を追いかけたのだが……
〜同級生と図書館〜
「図書館では静かにしなさい！」そう叫んで俺の上に飛び降りてきたのは、幼馴染
の図書委員長・よしあだった。しかし、問題は彼女が怒鳴りつけた相手が、覆面姿
で銃を構えている事だ。俺はとっさによしあを抱えて逃げ出した。いったい図書館
なんかに、なぜ銃器を持った一団がやってきたのかを疑問に思いながら。
〜図書委員長と図書館〜
図書館で出会った彼女は、自分と彼女が似ていると言った。九十日ほど前にあった
反乱の内偵を進めていた私の心を、彼女の言葉が揺さぶった。反乱の中心となった
白羽教の聖女、魔女ともいわれる彼女の拠点である図書館に、私は翌日も馬を走ら
せた……
〜女王と図書館〜
明治に建てられた、赤煉瓦の重厚な図書館は、小学生の僕にはいかにも不釣り合い
だ。黒檀のカウンターの向こうから、すらりとした体を白いブラウスに包んだ司書
が、その赤い唇を開いて僕に声をかける。僕は訳知り顔の司書を無視して、奥まっ
た閲覧席へと向かう。そこには、いつも同じ女の子が座っている……
〜邪悪な司書と図書館〜
図書館を舞台に繰り広げられる四編の物語。
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