広大な宮城の一角、七極宮の右手を臨む書院。辰老に引きつられて出向いた飛羽を
迎えたのは、女性の艶やかな声だった。二人の目前に現れた黄華と名乗る女性は、
かってこの地で栄え、そして滅びた<衛>の都の化身であった。
『山海守攻』
「猫を探すなら、猫探偵を雇えよ」クドーの元を訪れた女性の依頼は、研究室から
逃げ出した猫を探す事だった。クドーは、面倒なだけで面白みもない仕事だと思った
が、渋々ながらも手を貸す。しかし夜の大温室で二人の前に現れた猫は、ただの猫
ではなかった。
『ソックスを探せ』
月が真っ白に光る夜だった。御鷹紅は小高い丘にそびえたつ巨大なショッピング
センターの廃墟に足を踏み入れた。組織に劣等種と呼ばれて使われる彼女の任務、
それはこの廃墟で同族喰いを繰り返すビーストの排除だった。
『小さき翼たちの奏詩』
キミヒロは新しく建てる家の建築現場に手伝いに行った後、その現場の近くで一人
の女の子と知り合った。赤い着物を着て、「ともだちさ、待っとりゃす」と聞き慣れ
ない訛りで話す女の子。その日から、現場の手伝いの後にその女の子に会うことが
日課になったキミヒロだったが……
『ロング・ウェイ・ホーム』
様々な建物で繰り広げられる、四本の物語
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